私のご主人様Ⅳ
23.離れた手
小さなわがまま?
月日は過ぎて、暦はもう12月中旬になった。
この頃はすっかり平和なのか、普通に学校に通ってご飯の支度をする。あまりにも普通の日々を過ごしていた。
変わったことと言えば、学校でクラスメイトであった季龍さんの取り巻きたちが姿を消していたこと。
大半は転校したらしいけど、一部は停学扱いだった。でも、噂では行方不明なんていう言葉が飛び交っていて、その原因を何となくに察していた。
だけどそれを口にすることはもちろんできなくて、なにも知らないように振る舞っていた。
そして、あれから1度も高崎さんと口を交わすことはなかった。姿は見かけたとしても、私か高崎さんに必ず誰かがついていて、声をかけることを許されるはずがなかったからだ。
そんな日々を過ごしていた、クリスマスを1週間前に控えたこの日。
私と奏多さん、暁くんは永塚組の庭にある倉庫と言う名の物置小屋の中にいた。
「ッゲホゲホ!?」
「琴音ちゃん大丈夫?」
「…う゛ぅ」
手を滑らせて物が落ちた衝撃で舞い上がった埃に思いっきり咳き込む。
掃除をしてないことがすぐに分かるこの空間に、使用人魂に火が付きそうになるのを堪えながらお目当てのものを探し続ける。