私のご主人様Ⅳ
「全く、暁くん。キミは煙草はやめておくことをおすすめしますよ」
「はい。それ今日の分ですか?」
「ええ。琴音さん、先程のお茶菓子、私にも試食させていただいてもよろしいですか」
「はい。そこの、タッパーの中に…あります」
田部さんはてきぱきと無駄のない動きで野菜を冷蔵庫に詰める。
その間にお茶を入れて田部さんに差し出す頃には、お茶菓子を口に入れていた。
「…これはカボチャ味ですね。手作りで?」
「はい。…不味かった、ですか?」
「まさか。素晴らしい出来ですよ」
極端な褒め方に思わず顔が熱くなる。
田部さんはお茶も飲んでくれて、頷く。それは田部さんの合格という意味だと最近知った。
「琴音さん、旦那様から明日のお茶菓子のリクエストです」
「ありがとう、ございます」
見せてくれたのは料理雑誌だ。載っていたのはなんとラスクの専門店。源之助さん、こういうの好きなんだ…。