私のご主人様Ⅳ

今の言葉に、男性以外の全員が息を飲む。その事に男性は全く気づいていないようだった。

だけど、私に向けられるはずの疑いの視線が自分に向けられていることに気づくと、怪訝な顔をし始める。

「どうしたんですか?そんな顔して」

「…」

「なにか俺についてます?ねぇ、暁“さん”」

またも失言を繰り返す男性に暁くんは表情を一変させ、私の隣に立つ。

青海さんもまた、男性の背後に周り、静かに構えている。

一度車に乗り込んだ季龍さんたちも、車から降りてくる。

そんな様子に男性の顔から完全に笑みが消えた。

「…あんた、誰だ」

「…」

「両手を後ろに回して、膝を地面につけろ」

青海さんが背後を固める。

男性はゆっくりと青海さんの指示通りに手を後ろに回し始めた。
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