私のご主人様Ⅳ
「若、さっきから何持ってんだ?」
「あ?」
持ってる…?
手元に視線を落とすと、握っていたのは見たことがないケータイだった。
そういえば、あいつが投げて寄越したのはこれだったのか…。
電源をつけても、なんの連絡先も入っていない。だが、これはあいつらに繋がる唯一のものだ。
あいつらの連絡を待てってことか…。
俺たちが出来ることは何もない。その事に余計苛立ったが、目を閉じてそれを押さえた。
やがて戻った屋敷の中は騒然としていて、俺たちが戻るなり幹部連中が顔を出す。
「…」
「…」
だが、集まるだけで誰も何も言わなかった。
ここに琴音がいない。それがすべてを物語っているからだ。
「暁と青海は」
「暁は腕かすっただけだ。青海は病院で弾取り出してる」
「そうか…」