私のご主人様Ⅳ
兄弟
「…………………………」
「…………………………」
声がする。徐々にはっきりしてくる声は妙に似ていて、よく聞いていないと1人で話しているように聞こえてしまう。
何とか目を開けると一瞬眩しくて閉じる。それでも何とか慣れて見えたのはノンクリートの床だった。
「琴音ちゃんだけでも解放しろって言ってんだろ!!」
「だーかーらー!それは無理だって言ってるだろ!兄貴だけならいいけど」
「琴音ちゃんを解放しないなら、俺も残るって言ってるだろ!」
はっきり聞こえた声にはっとして、顔を向けようとして急に動けないことに気づく。
頭痛い…。ここ、どこ?
確か梨々香ちゃんに連れられて、季龍さんたちと一緒に外に出て、知らない人が来て…。
っそうだ。私、浚われたんだった。じゃあここは、敵のアジト…?
「っう…」
「あ、お姫様も起きた」
「琴音ちゃん!?」
何とか起き上がると、自分に向いている2つの顔に驚いた。
か、奏多さんが2人…?