私のご主人様Ⅳ

「俺が先に行くから、琴音ちゃんついてこれそう?」

「コクッ」

「よし!」

奏多さんは窓枠に足をかけ、身を乗り出す。出来るだけ地面との距離を縮めてから手を離す。

きれいに着地した奏多さんは、回りに誰もいないことを確認して頷く。

それを見て身を乗り出そうとしたその時、背後でドアの開く音がして振り返ると、奏太さんと視線が重なった。

「っ!?」

「え…へぇ、やるじゃん。お姫様」

まずいっ!!

窓枠に足をかけた時、眼下で取り囲まれている奏多さんの姿が見えて動きが止まる。

ダメだ。私が行ったら奏多さんが…。でも、どうすれば…。

その一瞬の迷いが最大の隙を生んだ。

腕を捕まれた直後、窓から引き離されて床に叩きつけられる。抵抗する間もなく縛り上げられた両手はびくともしない。

奏太さんを見れば不敵な笑みを浮かべていた。
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