私のご主人様Ⅳ
死にたくない。死にたくない。
生きて、季龍さんに会いたい…。
それまでの決意も、訳の分からない原動力もなにもかも崩れてなくなってしまう。
その場に座り込んだまま、少しも動けなくなってしまった。
「そ、そんないきり立たないでよ。お姫様に怪我なんかさせてないし、俺たちも手を出すつもりはないよ」
電話越しにも関わらず、季龍さんの気迫に押されたのか、奏太さんは慌てて弁解する。
それでも、気をとりなおすように咳払いして、口を開く。
「回りくどいことは抜きにして、本題だけど。こっちの要求は、関原隆治と中野蓮美の解放。それだけだ」
奏多さんが目を見開いたのが分かる。
どこかで聞いたことがある名前のような気がする。でも、霧がかったようにおぼろ気ではっきりと思い出せなかった。
「こっちの人質を返すのは1人だ。…もちろん。残った方も俺たちは傷つけない。返す人質も怪我なくちゃんと返すよ」
奏太さんと視線が重なる。少しずつ近づいてくる彼に、本能的に危険を感じた。