私のご主人様Ⅳ
逃げようとしても呆気なく首を捕まれて動けなくなる。
わずかに力が込もって、息苦しくなった。
「まぁ、応じないって言うなら、お姫様。殺すよ」
『琴音に手、出すなって言ってんだろ』
「っはは、ぶれないねぇ。それじゃあ、取り引き、してくれるってことでいいんだよね」
すぐに離れた手。でも、そこに残った圧迫感はわずかに残ったままだった。
『もう1人の人質はいつ解放する』
「ん?…そうだな。俺たちは、この取り引きが無事に済んだら、人質にはもう用はないよ」
『…それは、解放するという意味か』
「俺たちの手からは、ね」
慎重に言葉を選んでいるように聞こえる。この人はまだ何かを企んでいるようにしか思えなかった。