私のご主人様Ⅳ
「…それは、違うと思います」
気づけば口が開いていた。
奏太さんの目は怪訝な色をしていて、そこで口を止めることは出来なかった。
「確かに、奏多さんは、優れた人に拾ってもらったのかも、しれない。…それは、すごく運が良くて、そんな人に見込まれたのも、すごいことです。…でも、あなただって、運が良いと思います」
奏太さんは否定も肯定もしない。
1度息をつき、顔をあげて奏太さんと視線を合わせる。
「あなたは、仲間がいます。…あなた自身がバカだって分かってることに、着いていこうとする人たちがいます。…それは、運が良いことじゃ、ないんですか?信じ合えている仲間を持ったのは、あなたの実力です」
「…優れた人に拾ってもらったのも、少しでも正しくあろうとした人を集めたことも、どちらも運が良くて、奏多さんと、あなたが持っている力だと、思ったから…」
奏太さんの表情は変わらない。
それでも、視線は逸らさなかった。逸らしたら、いけない気がしたから。