私のご主人様Ⅳ
玄関にたどり着くと、大勢の組員に囲まれた奏多の姿があった。少し埃っぽいような気はしたが、油断はできない。
奏多は俺を見ると顔を引き締め、頭を下げた。
「すみません、俺のせいで」
「奏多、琴音が好きな着物の色はなんだ」
「え?…それは、どういう」
「答えろ」
有無を言わせないように畳み掛けると、奏多は怪訝な顔をしながらも口を開く。
「若葉色だと思いますよ。よく着てますし、無意識にだと思いますが、よく手入れしてますから。それと、少し楽しそうにしてると思います。…それが、何か」
暁に視線を向けると、頷きが返ってくる。そのことに肩の力が抜ける。
奏多で間違い無さそうだ。怪訝な顔をしたままの奏多に視線を向ける。
「いや、悪い。本当にお前なのか確かめるためだ。…よく戻った」
「いえ…。すみません、俺のせいで」
「お前のせいじゃない。俺の不注意が招いたことだ。…琴音の行方は分かるか」
「俺には分かりません。…ただ、知ってる奴がいます」
まさかの返答にその場にいた奴ら全員が目を見開く。