私のご主人様Ⅳ
「どういうことだ。どうして琴音の居場所が分かるなんて言える」
「…」
何も言おうとしない奏多に苛立ちが募っていく。
普段なら何も感じない沈黙が、焦らされているような気分になる。それは、琴音が無事でいると確証できる時間がそれだけ過ぎてしまっているから…。
「奏多!」
「そういきり立たないでくれないかなぁ、永塚の若君さん」
その場に響いた声は奏多の声。だが、奏多は口を閉ざしたまま。
全員の視線が、いつの間にか開いていた玄関に向く。
そこに立っていたのは、奏多と瓜二つの顔をした、琴音を浚った張本人…。その瞬間、目の前が真っ赤になる。