私のご主人様Ⅳ

「っやめろ、若!!!」

「ッゲホッゲホ…っ、容赦ないなぁ」

気づいた時には信洋と平沢に押さえ込まれていて、首を押さえた奴がひきつった顔を浮かべていた。

我を忘れて奴の首を絞めたのか…。だが、謝るつもりは微塵もなかった。奴が琴音を奪い取った。そんな奴がのうのうと現れて冷静ではいられなかった。

奴がここにいるということは、琴音の所在は解放した、中野とあの男の元にあると見て間違いない。

ますます琴音の安否が分からなくなってしまった。危機感ばかりが増していく状況に絶望まで出てこようとするのを何とか押さえていた。

「で?誘拐犯がじきしきに出てくるとか、どういう意味か説明してもらおうか?」

「もちろん。そのつもりで俺も来てる。…全部、話しますよ」

表情を一変させた奴の目に真剣さが宿る。話を聞く価値はある…か。

場所を移し、本題に入ると、奴は包み隠さず話始めた。
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