私のご主人様Ⅳ
季龍side
「っキリがねぇ!」
「ッチ」
意図も簡単に突破した正面の門だが、中には想像以上の人がいた。決して強いわけじゃない。だが、だからと言って弱いわけでもない。
そんな奴らが束になれば面倒な足止めになる。
足止めがいることは想定していた。だが、想像していた人数より遥かに多い。
奴らが外に出たのは2日前。たった2日でここまでの戦力が整えられるのか。…いや、そんなことは今はどうでもいい。
中野たちが騒ぎに気付いたのは必須。今すぐにでも琴音を救出しなければ…。
「っ若!先に行ってください!!」
「琴音さんを助けにいってください!!」
考えていることは同じだったのか。道を作るように敵を押さえていく。
その道を駆け抜け、屋敷の中に飛び込むと、あれほど人がいたのが嘘のように静まり返っていた。