私のご主人様Ⅳ
罠か、それとも…。
「若!」
共に駆け込んできたのは6人。
平沢、奏多、奏太、信洋、森末、そしておいてきたはずの暁…。
時間がない。罠と分かっていたとしても、これ以上の猶予はない。
「行くぞ!」
屋敷内を駆ける。不気味なまでに人がいない。それでも、止まることは誰もしなかった。
たどり着いたのは屋敷の最奥。僅かに人の気配がある。
平沢が銃をおもむろに構えた。奏多と奏太が左右に別れ、閉じられた襖に手をかける。
全員が無言のまま、だが、耳の奥で声がするようにカウントが流れる。
5・4・3・2・1…
襖が開け放たれる。同時に中に飛び込んだ平沢が銃を突き出すように向ける。だが、その手はすぐ下ろされた。
「琴音!」
「琴音ちゃん!!」
暁と奏多が駆け寄っていく先に、部屋の中央でうずくまる琴音がいた。いや、うずくまると言うより、そこにあるような…。
例えるなら、そう。糸が切れた操り人形…。