私のご主人様Ⅳ
「っぶっははは!ざまぁねぇなぁ、おい。そんな女1人に揺さぶられやがって」
響いた声に頭の中が真っ赤になったのを自覚した。
振り返った先には、信洋が薬で潰した目を眼帯で覆う中野蓮美が笑みを称えていた。
護衛すらつけないその態度は余裕そのもの。何かを隠しているだろうと、冷静な頭なら判断できたはず。
だが、目の前の男に対する殺意で頭の中は埋め尽くされていた。
「琴音に何しやがった」
「あ?…っぶは!んなこと聞かなくてもわかんだろ?それとも、あえて聞きたいってなら見せてやるよ」
中野が床に滑らせるようにスマホを寄越してくる。
『っいや!!来ないでっ!!いやぁああ!!』
『好きなだけ叫べば?誰も助けになんて来ねぇよ』
『っうあ…っう゛ぅ………』
スマホから聞こえてくる悲痛な声と生々しい音。映し出された画面には、信じたくないような光景がある。