私のご主人様Ⅳ

「若?」

「…いい、早く行け。終わったら追いかける」

「はい」

琴音を抱き抱えた暁に奏多が続く。

部屋に残されたのは、俺たちと中野のみ。その目が全員、殺意に満ちてることなんか言うまでもなかった。

「若、どーする?この場で殺すとか言わないでよ」

「信洋、落ち着け。まだもう1人いるだろう」

平沢のいう通り。まだ終わってねぇ。

ここの主にして、俺の実の親父である関原 隆治を捕らえるまでは…。

「奏太、中野連れて外に出ろ。ここにいるはずだ。しらみ潰しにしてでも探せ!」

「…ッ待て!!」

俺の声と暁の声が重なるように響く。

反射的に廊下に飛び出すと、暁と奏多が膝をついていた。そこに琴音の姿はない。
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