私のご主人様Ⅳ
「ッ琴音は!?」
「ッ…」
奏多が指差したのは廊下の先。
それを見た瞬間に走り出していた。誰の背も見えない。勘違いかと思ったとき、襖が閉まっていくのが見えた。
そこに向かって走り、閉じられた襖を開け放つ。そこにいたのは、若い男に支えられた琴音と、その琴音に何かを飲ませた父親の姿があった。
多分、動いたのは反射。気づいたときには意識のない琴音が腕の中にいて、立っている父親を睨み付けていた。
「…何した」
「…」
「琴音に何しやがった!!」
「っ…て、誤解だよ。永塚…」
割って入った声に視線を向ける。
舛田 颯…。琴音を利用して永塚組を陥れようとした奴。
永塚組を襲ったその日に捕らえ、1か月後に2度と永塚に関わらないことを条件に解放した。
どうして奴がここにいる。
この街にいるはずのない奴が、どうして…。