私のご主人様Ⅳ

もちろん、言葉だけでなく、水すら与えられなかった私にこそこそと食事を運んでくれた。

中野 蓮美の目を盗んで、虐げられるものを取り除いてくれた。

どうしてそんなことをするのか分からなかった。

中野 蓮美の目的は、永塚組を、季龍さんを精神的に追い詰める事だと言っていたのに。

真逆のことをする彼が…。


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「どうして…」

「…償いだ。……キミは、季龍の大事な女の子のようだから」

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答えはそれだけだった。

彼に何があったのかなんて分からない。

でも、彼は、関原 隆治は、季龍さんのお父さんは、過去の過ちを間違いなく、後悔していた。

ねぇ、季龍さん。

あなたのお父さんは非情な人なんかじゃなかったよ…。
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