私のご主人様Ⅳ
怒鳴った瞬間、何が崩れる音を聞いた。
あまりにも近くて、轟音にも似たその音の発信源に気付くのが一瞬遅れた。
振り返ったとき、そこは火の海で。その中に取り残された琴音に血の気が失せる。
「っ琴音!!」
助け出そうと動こうとした瞬間、隣を何かが駆け抜ける。何も恐れない足取りで火の海に飛び込んだのは父親だった。
次の瞬間、目の前に何が落ちてくる。
それを咄嗟に交わしたとき、琴音と父親の姿は全く見えなくなった。
「っ…琴音!」
「っバカか!死ぬ気か!!」
「離せっ!今ならまだ間に合うっ!!」
「季龍!」
鋭い声が響いた直後、投げられたそれを受け止める。それはボロボロの服に包まれた琴音で、燃えた服を引き剥がすと、それは父親がさっきまで着ていたものだった。