私のご主人様Ⅳ
顔を上げる。
高い炎の壁の向こうに父親の姿が見えた。
「っ親父さん!早くこっちに!!」
「…俺はここまでだ」
「はぁ!?何言ってんだよ!!バカなこといってねぇで早くこっちに来いよ!!」
舛田の叫びにも全く動かない父親は、表情さえも動かさなかった。
炎の回りが早い。ここももう時期に落ちる。
「親父さん!!」
「…季龍。セントラルネイチャー病院、508号室」
「は…?」
「…悪かったな。こんなくそ親父で」
困ったような、気恥ずかしいような、そんな微妙な顔をした父親は、少なくとも記憶にある顔のどれにも重ならなかった。
知らない。こんな父親を、これが本当に俺が見切った親父なのか…?