私のご主人様Ⅳ
「…ゅ……ぁ………」
「ッ!?」
微かに聞こえた声にハッとして顔をあげる。
視線が重なる。目を開けた、琴音の瞳が俺を映していた。
「ッ琴音!!」
「……た」
「琴音?」
「………………」
何を、言ってる…?
琴音の声が聞こえない。聴こえない。
わかるはずなのに、こいつの言葉なら、わかるはずなのに、なにもわからない…。
頬に何かが触れる。冷たいそれに無意識に手を重ねた時、琴音の瞳に映る俺が欠けていくのが見えた。
「ッ琴音!寝るんじゃねぇ!!琴音?おい!琴音!!!」
今にも閉じてしまいそうな目は酷く眠たそうだった。だが、寝ることを許したら全て失うような恐怖に支配される。