私のご主人様Ⅳ
わずかに覗いた瞳が揺れる。
右手で掴んでいたものが離れそうになる。それが琴音の右手で、さっき俺の頬に触ったのが琴音の手だったのか…。
そこで気づく。わずかに見えていた瞳が色を失っていた。…いや、実際にはきっと変化なんかなかったのかもしれない。
それでも、その時、確実に琴音の心音が止まったことははっきり分かった…。
「ッ!?琴音、………ッ琴音!!!!!」
聞こえない。何も、何も…。
琴音の音が、なにも聞こえない…。
嘘だ。…嘘だ、嘘だ、嘘だ…。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…
嘘、だろ…?
頼む。俺の前から消えないでくれ。お前は、お前だけは…。俺の…………。
「ッ死ぬなぁああ!!琴音!!!」
「ッ若!早く!!」
外を見ればそこはこの辺で1番でかい総合病院だった。