私のご主人様Ⅳ

琴音を抱き上げ車から飛び降りる。

1番近くの入り口に飛び込むと、一瞬の沈黙の後、悲鳴がとどろく。

そんなことに構ってる時間はねぇ。早く、早く医者を!!

「ッこちらに!!」

「先生!!!先生!!!」

看護師たちが一斉に動き出す。

1人の看護師の誘導に従って歩き出す。ものの1分足らずで医者が次から次に駆けつけてくる。

どの医者も同様に息をのみ、中には蒼白になる奴もいた。

「ッすぐにレントゲン!手術室確保して!!」

1人の医者の言葉に一斉に動き出す。

声をかけた医者琴音の首筋に触れて眉を潜めた瞬間、心臓マッサージを始めた。

「…電気ショク持ってきて!」

「っはい!!」

また慌ただしく動いていく。なのに、この医者だけはどこか静かだった。
< 214 / 289 >

この作品をシェア

pagetop