私のご主人様Ⅳ
「…」
「金ならいくらでも払う!だから、あいつを死なせるんじゃねぇ!!」
「…金で命は助かりません」
「あぁ!?」
「若!落ち着け!!」
「心肺機能が戻らなければどうにもならないんです。それは、どんなに高額な装置を使ってたとしても簡単には取り戻せない。…戻らなければ、助けられません」
「ッ!!」
琴音に視線を向ける。
戻らない。呼吸も、心臓も…。
心臓マッサージを続ける医者の手が震えていた。琴音を囲む看護師たちの表情が曇っていく。
…助からない。
そんな言葉がこの場を包み込むように広がる。