私のご主人様Ⅳ
「あ、若ここちゃんどう…って若?」
「…」
談話室で待っていたらしい信洋と平沢が出てくる。
何も言えないまま、エレベーターホールへ向かう。
さっきの琴音の姿が頭から離れない。
機械に命を繋ぎ止められている琴音の姿が…。
俺が傷つけた。俺が、油断さえしなければ…俺が、手を離さなければこんなことにはならなかったはずなのに。
「………………………………?」
「………?……………!??」
「………か!………おいッ!若!!!」
肩を捕まれてハッとする。
気づけば車の中…永塚の屋敷に戻ってきていた。
運転手の平沢は振り返らないものの、助手席の信洋の目は困惑したものだった。
しっかりしろと頭の隅で自分の声がする。
分かっていても、思い通りには心は動こうとしなかった。
季龍side end