私のご主人様Ⅳ

終始無言のまま離れまでたどり着く。

部屋の中には、険しい顔で目を閉じている源之助の姿があった。

いつもは出さない覇気を纏った姿に、信洋は息を飲む。対する季龍は動揺の1つすら見せず、源之助の前に座した。


「怪我はもういいんだな」

「あぁ」

「ならいい。…琴葉ちゃんは?」

その名前に季龍の表情が固まる。明らかに様子の変わった季龍に源之助は眉を潜める。

源之助の視線は信洋に向けられたが、信洋自身は琴葉の様子を見ていないため言葉を返すこともできなかった。

「若、ここちゃんは…」

「…」

信洋があえて聞き直しても季龍は何も言わない。

心ここに非ず。その言葉通りの季龍の状態に信洋もかける言葉を失い沈黙が落ちる。

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