私のご主人様Ⅳ

「平沢さん、どうしてここちゃんが狙いは“自分”だと分かってたなんて言えるんです?ただ、若の前に出るために1回横に出たところを撃たれた可能性も…」

「若がターゲットだって、琴音が認識してたなら、琴音は横になんて出ない。そんな時間のかかること、するわけないだろう」

「…いつ撃たれるか分からない状況で、若を守る行為を最短時間で出来る方法は」

「あの場合なら、若を押し倒すことだろうよ。全身でぶつかりゃ、不意をついた若を押し倒すことくらい分けねぇだろうしな」

でも、ここちゃんはそれをしなかった。

それは、つまり…。敵の狙いが自分だとあの短時間で判断し、行動したことになる。

でも、本当にそんなことが出来たのか?

それがただの偶然で、敵も動いた奴を咄嗟に追いかけ撃った可能性もないわけではない。

それに、どうしても信じられない。いくらここちゃんが永塚組に連れてこられたとしても、財閥の使用人であったとしても、一介の一般人であることに変わりはない。

そんなただの女の子にそんなことが本当に出来るのか?

しかも、追い詰められたあんな短時間で、そんなことが…。
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