私のご主人様Ⅳ
ダメだ。これ以上はただの推測に過ぎない。
その“事実”にたどり着くには、ここでの情報だけでは足りなさすぎる。
調べなくてはいけない。ここちゃんの過去を、この事件の全容を。
「戻りましょう、平沢さん。ここでこれ以上の収穫は無理です」
「…本当にそうか?俺にはまだ気になることがある」
平沢さんの鋭い視線に息を飲む。この人は、まだ俺が見えない、視線を向けていないところまで見つめている。
平沢さんの行動に注視していると、焼け焦げた建物の残骸を睨んでいた。
「中野蓮美はたった2日であれほどの戦力を集めた。しかも、金の力を使ってだ。奴らを解放したとき、奴らは一文無しだった。それに、関原が関わっていた場所は全て俺たちが改めただろう。この場所だって例外ではなかった」
「奴らの金の入手ルート。確かに分からないですね」
「それだけじゃねぇ。これほどの人数を集めるのにスカウトだっている。だが、中野蓮美は、この場所から動かなかった」
「…」