私のご主人様Ⅳ

「琴音」

頬を撫で、琴音の横に寝転がる。至近距離から見える顔。赤くなった琴音の顔が浮かんで、フッと笑みがこぼれた。

「おかえり。…もう、寂しくないだろ」

病院で1人夜を明かすことはもうない。ずっと俺たちがいる。傍に、必ずいる。

琴音の頭を撫でていると、照れながらも微笑んだ顔が浮かぶ。

『季龍さん』

琴音の声が聴こえる。

琴音の傍は荒波を立てた心を静め、安らぎをくれる

もう1度、その声を、笑顔を、向けてほしい。

どうか、1日も早く目覚めてくれ…。

季龍side end
< 288 / 289 >

この作品をシェア

pagetop