私のご主人様Ⅳ

「お前、声出せるんだろ。頷くばっかしてんじゃねぇ」

「あうあう」

「あ?」

「っひ!?」

睨まれて怯むけど、すぐに暁くんに頭を撫で回される。

よかった。いつもの暁くんだ…。

自然に笑ってしまうと、何笑ってんだって怒られたけど、暁くんも笑っていた。

朝食を作り終えて食卓に持っていくと、寝癖のせいか、髪の毛が爆発している平沢さんと青海さんがいた。

それにしても、どうやったらこうなるんだろうってくらい、すごいことになってる。大あくびをする2人は気にしてないみたいだけど…。

「おぉ、琴音おはようさん」

「おはよう、ございます」

「お嬢を起こしてくる」

青海さんが席を立ち、梨々香ちゃんを呼びに行く。入れ違いに入ってきた源之助さんと田部さんは、すっかり身支度を整えていた。

「おはよう、琴葉ちゃん。いい天気だね」

「おはようございます。そうですね、洗濯物がよく、乾きそうです」

源之助さんと笑みを交わし、コーヒーを差し出すと嬉しそうな顔をしてくれた。

一方の田部さんは、だらしのない格好でいる平沢さんを睨んでいる。どこからともなく、ゴングの鳴る音が聞こえた気がした。
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