私のご主人様Ⅳ

突然開いた雨戸からお庭に飛び降りてきたのは青海さん。視線が重なると無言で近づいてくる。

な、なんか怖い…。思わず後ずさりしたけど既に遅い。

「わ!」

無言で担ぎ上げられてしまいました。

って高い高い!!怖いー!!!

暴れようとして、落とされたらまずいと冷静に判断が頭の中で下り、背中の服を握り締めるに留まった。

そのまま屋敷の中に連れ戻され、居間に逆戻りしてしまう。そこには苦笑を浮かべた源之助さんしかいない。

梨々香ちゃんたちどこへ?

悩んでいる間に下ろされて、源之助さんと向き合う。青海さんはまた部屋を出ていってしまって、源之助さんと2人きりだ。

「琴葉ちゃん。どうして部屋を出たんだい?」

「え…」

どうしてって…。そんなの、私はいるべきじゃないって思ったから…。

思いはそれで間違いないのに、なぜかそれを口に出せなくて、黙り込んでしまう。
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