私のご主人様Ⅳ

『…琴音だな。…声、出るんだろ?聞かせろ』

「ッは、はい!…!!」

咄嗟に出た返事に思わず口を覆う。でも、電話の向こうから笑いを堪えるような声がして、顔が熱くなった。

『体はもう大丈夫か?』

「は、はい…」

『はいばっかだな』

「はい…あ」

思わず口に手を当てる。電話の向こう側で笑っているような気配がして、顔が熱くなる。

こんなのおかしいよ。なんで、声を聞いただけで顔が熱くなるの?なんで、心臓がドキドキいってるの?

これじゃ、私…全然ダメなのに…。

『琴音、迎えに行く。だから、待ってろ』

「ッ…は、い」

『大人しくしてろ。イノシシ追いかけんじゃねぇぞ』

「ッ!?そ、それは青海、さんが…」

『分かってる。からかっただけだ』

「!?!?」

か、からかっただけって…。何それ、そんなのずるい、です。
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