私のご主人様Ⅳ
「…登る?」
「落ちないでくださいよ」
取り残された梨々香ちゃんと暁くんと顔を見合わせる。
そして、意を決した梨々香ちゃんから雪の壁を登っていく。落ちてこないように暁くんと下から支えるものの、自分が登れるのか少し心配になってきた。
「お兄ちゃん!」
「梨々香!」
反対側へ顔を出した梨々香ちゃんは、嬉しそうな顔をして反対側へ降りようと足を伸ばす。
「っうわ!?」
「っお嬢!?」
支える手が届かなくなった直後、梨々香ちゃんの体は雪の壁の反対側へ落ちるように消える。
暁くんが雪の壁を登っていく。そして、反対側を見てホッと息をはいたのが分かった。