私のご主人様Ⅳ

「…」

「っ…」

手が伸ばされたと思った次の瞬間、ぬくもりに包まれる。

あ、熱い…。触れた場所が、季龍さんの体が、熱くて熱くてたまらない。でも、…でも離して欲しくない…。

「琴音」

「っ…」

耳元で呟かれた名前。電話で聞こえてきたのと同じ。…なのに、耳にかかる吐息が、音の響きが、違って顔が真っ赤になるのが分かる。

頬を包むように触れられた手に従って顔を上げると、季龍さんの視線と重なってそらせなくなる。

心臓がうるさい。季龍さんに聞こえちゃう…。

目を閉じると笑われたような気配がする。

あ、あれいつ目開ければいいんだろう。閉じなきゃ良かった…。

思いきって目を開けた直後、見えたのは季龍さんの瞳で、唇が塞がった。
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