私のご主人様Ⅳ
「だと思いました」
「やれやれ…」
「琴音、お父さんは悲しいぞ~」
「平沢くん、茶化さないでください」
田部さんから始まり、源之助さんと平沢さんもため息混じりだ。
そうじゃなくて助けてください。季龍さんから離れようとすると、首の後ろに腕を回されて動けなくなる。
「離して、ください!!」
「うるせぇ。離れんな」
「お話…終わったら、戻ります、から!!」
ますます手の力は増すばかりで離してくれる様子がない。
ど、どうすれば…。助けを求めるつもりで源之助さんに視線を向けると、苦笑いが返ってくる。
「季龍、やることがあるだろう。終われば好きにすればいい」
「…」
わずかに険しい声がして、季龍さんの腕の力が緩くなる。
その隙に体を起こして、捕まる前に手が届かないところまで下がる。