私のご主人様Ⅳ
今のうちに退散します!
頭を下げて部屋から抜け出す。襖を閉める前、舌打ちが聞こえたような気がしたけど、空耳だよね…?
それにしても、本当に終わったんだ。
約束通り、迎えに来てくれた。こんな雪で閉ざされた場所まで迎えに来てくれたんだ。
「…ックス」
思わずこぼれた笑みにハッとして、咳払いして顔を上げる。
お仕事しなきゃ。お茶とお昼を用意しなきゃ。青海さんがガッツリ食べたいだろうからなぁ…。
「琴音、森末さんと信洋さん寝るってよ」
「え?」
「若に夜中に叩き起こされたんだと。しばらく起きねぇと思う」
台所に向かう途中で暁くんが隣に並んでくれる。
季龍さん、無茶するなぁ…。苦笑いをしながら、お昼はうどんかなとメニューがやんわり決まる。
青海さんは別メニューで何か作っておこう…。
暁くんと話ながらうどんの材料を出して、さっさと作っていく。途中で季龍さんたちにお茶を届けてくれた暁くんだけど、戻ってきた時の顔は疲れきっていた。