私のご主人様Ⅳ
「…ことねぇは、お兄ちゃんのこと、嫌い?」
「っ!?フルフル」
私が困った顔をしていたせいか、梨々香ちゃんは不安そうに眉を下げてしまう。
首を横に振ると、その顔はすぐに笑顔に変わる。
「ならよかった!えへへ、お兄ちゃん喜ぶかなぁ」
梨々香ちゃん、まるで少女漫画にときめく女の子だ…。
ニコニコしたままうどんをすする梨々香ちゃんを見ながら私も食べ進める。
季龍さんが、私に会いたくて来た…?そんなわけ、ないよね。
いつの間にか高鳴っていた心臓をなだめるように息を吐いて、あり得ないと結論付ける。
「ごちそうさまでした!お兄ちゃんまだ話終わらないのかなぁ」
「そんなに早く終わる話でも、ないと思うよ」
「そうだけど…」
2人同時にうどんを食べ終え、片付けようとした時、ノックもなしに開け放たれた襖に2人で飛び上がった。