私のご主人様Ⅳ
消えない影
振り返ろうとする前に、伸びてきた腕に抱き締められる。顔を向けると、目の前に季龍さんの顔があって悲鳴を上げかけたのを必死でこらえる。
「お兄ちゃん、おかえり」
「あぁ」
「お話終わった?お疲れ様!」
「おとなしくしてたか?」
「うん!あ、でもちょっと熊とかに襲われたかも」
普通に話始めた梨々香ちゃんと季龍さんに、だんだんと居心地の悪さを感じていく。
梨々香ちゃんも平然と話続けないでください!!
そっとお腹に回された腕を解こうとすると、更に引き寄せられてしまう。こうなったら無理矢理っ!!
力づくでお腹に回された腕を離そうと両手で抵抗する。だけど、びくともしない腕はまるで鋼のようで、少しも動かなかった。
「暴れんじゃねぇ。離さねぇぞ」
「ッビク」
もがき続けている私を嘲笑うように、耳元で囁きかけてきた季龍さんの声に体が跳ねる。
く、くすぐったい!!顔が熱くなるのが分かって手で覆い隠そうとすると、その手すら押さえられてしまう。