私のご主人様Ⅳ
「ごゆっくり~♡」
にっこり笑った梨々香ちゃんが襖を開けて見送りまでしてくれる。
って、違う。そうじゃない!!
抱っこされたまま移動していく季龍さんに、心臓は高鳴っていくばかりで全然落ち着けない。
何も話さないままたどり着いた私が寝泊まりしている部屋は、なぜかカーテンが締め切られて薄暗い。
それだけならまだしも、今朝片付けたはずの布団が真ん中に堂々と敷かれている様に、自然と体は固くなる。
「梨々香の奴…」
これには季龍さんも若干呆れ顔でした。
そんな様子にホッとしたのも一瞬で、ためらいなく布団の上に腰かけた季龍さんに再び緊張が走った。
ふ、布団の上で抱っこされてるなんて、なんか…こう…。うん、すごく大人の雰囲気だ。
言葉の表現をあえてそうして、何とか落ち着こうとしていても、季龍さんの体や腕のわずかな動きにいちいち反応してしまう。