私のご主人様Ⅳ
「季龍…さん?」
「あぁ」
「っ季龍さん!」
しがみついてきた琴音が落ち着くように頭を撫でる。
暗がりで布団に押し倒されたのがトリガーだったのか…。震えが止まらない体は、傷つけられたことをはっきり覚えてるのは明らかだ。
「琴音、悪かった」
「フルフル」
何とか落ち着いたか?それでも表情は固いし、体は震えたまま。
たった一度。それでも、その一度がこいつの全てを壊した。
許せねぇ。こいつを傷つけた奴も、傷つけておきながらもこいつの心を支配する奴も…。
「忘れちまえ」
「…?」
「全部忘れて…いや、塗り替えてやる。俺が、全部な」
「…??」
…ポカンとした顔で首をかしげる琴音に、頭を抱えたくなるのをこらえ、ため息をつく。
こいつ、口説いてんだぞこっちは…。バカみてぇだろうが、くっそ…。