私のご主人様Ⅳ
20.押さえきれない思い
避難先
秋の風が頬を撫でる。
庭の紅葉はきれいに紅葉し、真っ赤に染まっている。そんな様子を眺めながら、縁側を進む。
「お、来た来た」
「琴葉ちゃん、悪いの」
角を曲がった先で、縁側に座る平沢さんと源之助さんに笑いかけて残りの距離を詰めた。
「いつも悪いな」
「いえ、私の、仕事です…から」
「琴音、なーにかっこつけてんだ」
「平沢さんは、飲まなくて…いいです」
「え!?悪かった!機嫌直してくれよ~」
運んできたお茶とお菓子を源之助さんの右手の隣に用意して、平沢さんから顔を背ける。
途端に態度を変えた平沢さんに笑って冗談ですと告げてお茶とお菓子を差し出した。