私のご主人様Ⅳ
そう思うと急に話したくなって、台所まで急いで行く。
ちょっとだけ若の気持ちも分からんでもない。ただ、食事もお預けにされんのは二度と懲り懲りだけど。
台所にたどり着いて中を覗くと、そこには待ち望んでいたここちゃんではなく、暁が1人で夕飯の支度に追われていた。
「あれ?暁だけ?」
「うお!?…信洋さんも森末さんも、もういいんすか?」
「おー。でも腹減った」
「うどん温めるんで待っててください」
どんだけ集中してんだか。大袈裟に驚いた暁は、何事もなかったかのように手早くうどんを温め始める。
腹鳴りそう…。台所に充満し始めるうどんの臭いに、空腹が刺激されるのをこらえながら、用意されるのを待った。
「ここちゃんはー?」
「若と一緒なんじゃないっすか?昼食べてから若すぐに琴音捕まえに行ったんで」
「へー…まぁ、お嬢も一緒だろうし大丈夫…」
「あ、信洋おはよう!あんまり起きないから、油性ペンで落書きしてやろうと思ってたのに」
台所に飛び込んできた声に耳を疑った。
お嬢の声?え、お嬢若たちと一緒じゃないわけ?いつから…?