私のご主人様Ⅳ
あれから1ヶ月が過ぎた。
私たちが今いるのは平沢さん個人の別荘だという、平屋建ての日本家屋だ。永塚組のお屋敷の小さい版といったところ。
周囲は山に囲まれ、民家もお店もコンビニすら見当たらない。そのお陰か、周囲をお散歩しても誰にも出くわすことはない。
…いや、正確には猿とかイノシシとか、野生動物には何回か会った。もちろんしかるべき方法で逃げてる。何回か襲われかけたけど。
そんな人里離れた山の中での生活は自給自足と言うように、お庭には小さいながらにも畑が作られ、青海さんは狩りに出掛けている。もちろん、必要なものは1週間に一度、平沢さんが街に降りて買い出しに出掛けている。
そんな生活にも大体慣れ、毒に犯されていた私の体も暁くんと梨々香ちゃんの献身的な介抱のお陰で2週間ほどで全快した。
それからは永塚組のお屋敷でしていたように使用人らしく働いている。
「琴音、獲った」
「うおっ!お前また豪快な…」
「青海くん!こっちに持ってきてはいけないと言っているでしょう!あぁ、また血が…」
玄関の方から庭づたい来たのか、青海さんの後ろには仕留めたらしいイノシシがいた。
驚く平沢さんに対して、庭を汚したことを怒る田部さん。青海さんはのんきに獲ったイノシシを眺めてる。
明日はまた獅子鍋かな?