私のご主人様Ⅳ
梨々香ちゃんの追求から逃れようと後退りしていると、背中が誰かにぶつかる。
振り返る前に肩を抱かれ、逃げられなくなった。
「あ!お兄ちゃん!!ちょっとなんでことねぇと何にもないの!」
「お前が余計なことするからだ」
「えぇ!?せっかくいい雰囲気にしといたのにぃ…」
ぷくっと頬を膨らませた梨々香ちゃんに、季龍さんは呆れた顔をする。
ほっと息をついている暁くんと森末さんの顔は何となく赤い感じがする。2人を見ても視線が合わないのが何となく寂しかった。
「お兄ちゃん、ことねぇ見てもなんとも思わなかったの?」
「野暮なこと言ってんじゃねぇ」
「だってー!久しぶり会ってるのに、お兄ちゃんが何にもしないから…」
「…はぁ」
梨々香ちゃんからの攻撃は止まず、さっきからじりじりと地味に痛手を突いてくるみたいだ。
季龍さんも疲れた顔をしながら梨々香ちゃんの言葉に振り回されてる。