私のご主人様Ⅳ

「うわ、またかよ…」

「っひ!?」

騒ぎを聞き付けたのか、暁くんと梨々香ちゃんも顔を出す。でも、梨々香ちゃんは慣れないのか部屋の奥に引っ込んでしまった。

とりあえず庭に出て青海さんが仕留めたイノシシを見ると、まだ若いのかそれほど大きくはない。

「捌くのやるか?」

「コク」

「うわぁ、琴音がどんどん野生児になってくぜ、おやっさん」

「季龍が見たら驚くだろうなぁ」

後で何か言われているけどとりあえず気にしない。

田部さんに捌くのはここ以外禁止!と言われている台所の勝手口の隣にある水道のところまでやって来ると、ハサミやら包丁やらいろいろ用意する。

「琴音、さっさとやるぞ」

「コクコク」

青海さん指導の下、テキパキと血抜きから解体まで済ませていく。早くしないと腐っちゃうから、最初は見てるだけだったけど、最近やっと触らせてくれるようになった。

何でも、山篭もりをしている時に猟友会の人に見つかって、いろいろ教えてもらって資格まで取ったんだとか。

そんなわけで簡単なところだけやらせてもらったり、手伝っていると、ものの20分くらいですべて行程を終わらせた。
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