私のご主人様Ⅳ
「もうっうるさーい!」
「なんだなんだ、お嬢。再会の涙はねぇのか?」
「お兄ちゃんになら、泣いて喜んだけどねぇ」
「ひっでぇなぁ」
笑い声が響いて、雰囲気を和ませる。
1ヶ月前と変わらない雰囲気はなぜか心地よくて、帰って来たんだと思えた。
…あれ?私、今帰って来たって…。そんなこと、思っていいの、かな?
自分の思いなのに、そう思えたのがおかしかった。
「何してる、入るぞ」
ポンッと背中を押され、前に進む。その瞬間、それまで笑っていた組員さんたちがピタリと黙ってしまった。
恐る恐る顔を上げると、一様に口を開けたまま固まった顔が並んでいて、思わず吹き出してしまった。
「琴音ちゃーん!!」
「元気になったんだなぁ!!」
「うぉぉぉおおおお!!」
次の瞬間、響いた声には驚いて今度は私が固まった。
なぜか雄叫びをあげている人や、中には泣き出す人までいて、どうしたのか検討もつかない。