蜜月なカノジョ(番外編追加)
「あの…どうなさいましたか?」
「あ…いえっ…」
どうしてこんなことで私は震えているのだろう。
相手はただの常連さん。葵さんと仲よさそうに話しているのを何度も見かけたことがあるし、他のスタッフとだってそうだ。とても人の良さそうな雰囲気で、それは葵さんの友人ということからも証明されているのだと思う。
それなのにどうしてただ話しているだけでも震えが止まらないの____
「あの…ほんとに顔色が…」
「……っ」
心配そうに伸びてきた手を見てぞわりと背筋が凍りつく。
「杏っ! 悪いっ、遅くなった!!」
その時、突然手を引かれて温かい何かに背中ごと包み込まれた。
「______」
耳が触れた場所から速い鼓動と少し上がった呼吸が伝わってくる。
その音と、そして背中を支える熱い手のひらの感触に、さっきまでの震えが信じられないほどに消えていく。
あぁ、誰かなんて見なくてもわかる。この手は____