蜜月なカノジョ(番外編追加)

ぼろんぼろん零れる涙と共に吐き出した一言にナオさんが困惑したのがわかった。それがまた何故だか私の感情を逆撫でしてイライラが止まらない。

「っだって、朝見送ったときは確かにナオさんだったのに! そりゃあ本当は直斗さんなんだからありのままの姿でお仕事しなきゃいけないことだってあるんでしょうけど。むしろ本当はそっちの方が多いのかもしれないけど! …でも、いくら私がこんなんだからって、一言くらい言ってくれてもいいじゃないですか。もう知ってるのに。家を出てからわざわざ着替えるだなんてしなくても、そんなナオさんの負担になることなんてしなくっても、言ってくれれば私だって…!」
「……」

「それに、そこまでして私に気を使ってるのならどうして追いかけてきたりしたんですか! 私に隠したいからナオさんとして家を出たんでしょう? だったらこんなことしなくったって…。私だって見なかったふりできるのに! 別に私の知らないナオさんを見たからって、ナオさんが全然知らない人みたいに見えたって、私は____」

そこまで捲し立てたところでハッと我に返る。
見ればナオさんは当然のように呆気にとられていて。

「あ…」

今私は何を言った?

ナオさんは何も悪くないのに。
それどころか心配して追いかけてきてくれたのに。
それなのにまるでナオさんが悪者みたいに一方的に感情をぶつけるなんて。

…信じられない。私は最低だ____

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