蜜月なカノジョ(番外編追加)


「…杏、落ち着いて? 全然怒ってなんかないから、ね?」
「っごめっ…ごめんなさっ…ごめんなさいっごめんなさいっ…!!」
「あぁほら、全然怒ってないから。落ち込まないで。泣かないで。ね? …っていうかむしろ嬉しいくらいだし」
「……へ?」
「ぷっ! 涙と鼻水、すごいことになってるから」

そう言ってハンカチを取り出したナオさんは何故かやけに嬉しそうで。
この状況下でどうしてそんな顔をしているのか全くもって理解なんてできるはずがなく。「ぶっちゃいくね~」なんて言いながら終始ご機嫌な様子で私の顔を拭っているナオさんを呆然と見つめた。


「…杏、さっきの私……俺を見た?」
「…っ」

ふっと目線をぶつけてきたのは「直斗さん」。
その視線から逃げたいのに何故か金縛りにあったように逸らせない。

「杏の知らない俺を見て…不安になった?」
「……」
「俺の隣に知らない女の人がいて……妬いた?」
「___っ?! ちっ、ちがっ…! ヤキモチ、なんてっ…!」

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