蜜月なカノジョ(番外編追加)

「あなた杏ちゃんでしょう?」
「えっ?」
「あなたのことは直斗から聞いてたの。早く会いたいってずっと前から言ってたんだけど、こいつったらなんだかんだ理由をつけて全然会わせてくれないんだもん。やんなっちゃう」
「ナオさんから…?」

「おい、その時が来たらちゃんと連れて来るって言ってただろ」
「そんなこと言ってもう何年経つと思ってるのよ。あんたの言う『その時』を待ってたらおばあちゃんになっちゃうじゃない。ったく、どうして私の周りの男ってこうもヘタレばっかりなんだか…」
「…うるせーな…」

…こんなナオさんを見るのは初めてだ。
完全に相手にペースを持って行かれてるなんて。
この女性は一体…?

「ごめんね、杏ちゃん。いきなりこんなところに連れてこられて意味がわかんないわよね」
「…え?」

どうしていきなりだなんてわかったんだろう。

「だってさっきこいつったらそんな気配のこと微塵も言ってなかったし。いきなり消えたと思えばこの状況でしょ? きっと何かあってろくに事情も話さず無理矢理連れて来たんだろうな~って。違う?」
「……」

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